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幼稚園の安全対策を徹底解説!安全な園生活を送るために注意すべき事故を知ろう

幼稚園の安全対策を徹底解説!安全な園生活を送るために注意すべき事故を知ろう
| 2025.02.09

こども家庭庁によると、令和4年1月1日から12月31日の一年間で教育・保育施設等で発生した事故は2,461件報告されています。死亡事故も5件含まれており、小さな子どもを預かる幼稚園ではいつの日も危険と隣り合わせです。この記事では、尊い命を守るための安全対策を詳しく解説します。ヒヤリ・ハットの事例もご紹介するので、安全な園生活を送るための参考にしてください。

注意すべき事故や危険の種類

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近年、教育・保育施設等ではさまざまな要因により安全が脅かされる事件や事故が増えています。危ないことが起きたものの、大事には至らなかった事象をヒヤリ・ハットと言いますが、事故の一歩手前だったという事例もたくさんあります。ここからは実際に起きた事件や事故、ヒヤリ・ハットも参考にしつつ、注意すべき危険の種類を確認しましょう。

園内での事故
安全と思われる園内ですが、事故の可能性は発生件数の半分近くに上ります。たとえば、園内のホールで走り回って捻挫をしたり、工作の時間にはさみで出血したりといった危険が考えられます。また、園庭では遊具から落下する可能性もあり、好奇心旺盛な子どものケガを完全にケガを防ぐことは難しいです。さらに、ケガだけではなく、誤ってトイレに閉じ込められたり、園庭で遊んでいる途中に抜け出したりといった事例も報告されています。

給食の時間では、誤飲やアレルギーといった事故にも気をつけなければなりません。2020年には東京都内の認定こども園で給食に出たブドウを食べた4歳の男児が亡くなっています。乳製品や小麦といったアレルギーも死に直結しかねません。配膳を間違わないようにしたり、給食を委託している場合も連携を取ったりする必要があります。



園外での事故
園外活動での事故は、ヒヤリハット事例集によると見失いや行方不明が多いようです。遠足で向かった公園で点呼時に姿が見えず職員で探し回ったり、園に到着していないことに気づいたという報告もあります。どちらも事なきを得ましたが、一歩間違えれば事故のみならず、事件につながっていた可能性も否定できません。

また、散歩中に列から離脱して一人で行ってしまったり、道路に飛び出して車に轢かれそうになったりといった危険もありました。予測が難しい子どもの行動を完璧に防ぐことは困難です。しかし、事前に危険性を予測して、見守り体制を整えることで事故の可能性はぐっと減るのではないでしょうか。



送迎バスの事故
送迎バスの事故では、乗せ忘れ、乗せ間違いという報告がありますが、近年は置き去りが特に問題視されています。

2021年7月に福岡県中間市、2022年9月に静岡県牧之原市で子どもが送迎バスに置き去りにされ、熱中症で死亡しました。牧之原市の事故では発見時に体温が40度近かったとされ、空になった水筒と自分で脱いだ衣服が残されていたそうです。

原因はバス降車時の確認不足と子どもの出欠確認を怠ったことです。クラス担任は欠席連絡を受けていない子どもが園にいないことを認識していたにもかかわらず、保護者への確認の連絡をしませんでした。バスでの確認と園での確認という二重の確認は、置き去りという事故を防げることは明らかです。また、事故防止のために国が指針を打ち出したので、後述します。



不審者による危険
近年は不審者による被害も相次いでいます。夜間に無人の幼稚園に侵入して窃盗をしたり、窓ガラスを割って破壊したり、物騒な事件が報告されています。

さらに、2021年には宮城県登米市にある認定こども園に刃物を持った男が侵入する事件は発生しました。職員によって取り押さえられ、逮捕につながりましたが、賢明な判断がなければ園児の命が危険にさらされていたことは明らかです。職員は子どもを危険から遠ざける以外にも、外界に対しても危機管理能力を身につけなければいけません。

安全対策4選

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幼稚園におけるさまざまな事故や危険をご紹介しました。尊い命を守るためには、予測可能な事態も予測不能な事態も、どちらに対しても対処しなければいけません。ここからは、幼稚園に取り組んでほしい安全対策を解説します。事故や危険に対するアンテナを張って、子どもも職員も活動しやすいような環境整備につながれば幸いです。

職員間の連携を徹底する
どの職業でも職員間の報告や連絡は必要ですが、幼稚園という子どもが相手の現場では特に連携が重要視されます。内閣府が発表したヒヤリハットの事例集でも、原因の多くに職員間の連携不足があげられました。小さな子どもが相手の職業にはマニュアルはなく、一人一人の個性を把握して、子どもの発達を考慮した安全対策を施す必要があります。そして、その安全対策を職員間で共有することで事故を防ぐ確率はぐっと上げられるのです。

さらに、事故が起きた際も、原因とどのように解決に導いたかを園全体で把握することが大切です。別の解決策を提案してもらえる可能性もありますし、危険性を職員間で把握することで今後の教訓にもつながります。

職員間の連携をスムーズに行うためには、話しやすい環境を整えることも重要です。たとえば、子どもが給食で苦手だったトマトを食べたという報告は園の雰囲気を和ませてくれますね。悪いことだけではなく、良かったことも共有できるとよいでしょう。

幼稚園はひとつのチームです。職員が一人で抱え込まないように、園長や主任は風通しのよい職場をつくるように心がけましょう。



環境を整える
全件数のうち、園内での事故が半数近くを占めると前述しましたが、環境を整えることで防止できるケースが多いです。たとえば、遊具やおもちゃが壊れていないか定期的に確認することで、子どもがケガをする確率を下げられます。また、園庭で遊んでいて抜け出す恐れがある場合は門を閉めたり、鍵をかけたりするなど対策をしましょう。

活動開始の際には、子どもたちにも最初に約束事を伝えておくといいですね。どうしていけないのか考えさせたり、理由も付け加えたりすることで学習の機会にもつながります。自ら環境を整える習慣を身に着けることも大切です。



デジタル機器を活用する
近年、人手不足で多忙な教育現場を支える手段として、デジタル機器の導入が推奨されています。

前述した送迎バスの置き去り事故に関しては、国によって安全装置が義務化されました。安全装置とは車内に人が取り残されるのを防止するための装置であり、異常を検知すると車外に警報を発してくれます。また、登園管理システムも子どもの出欠を確認できるため、送迎バスの置き去り事故を防止できるとして有効なシステムです。

なお、送迎バスの位置情報を把握して、業務効率化と安全性の向上に貢献するシステムもあります。弊社では「iHere(アイヒア)」(http://trasco.jp/iHere/wp/)を提供しており、バスの到着時間が把握できる点で保護者に重宝されています。待ち時間が短縮できれば、子どもが飽きて道路に飛び出す可能性も軽減できますね。

また、保護者が直接送迎バスの位置を把握できるので、時間通り運行できていない時でも朝夕の園への問い合わせが減るため、職員が園児の対応に集中できるのも良い点です。

不審者対策としては防犯カメラが効果的です。防犯カメラの映像の記録があれば、事件後に警察は素早く対応でき、早期解決につながります。事前対策としても、不審者に対して「いつでも監視しています」という警告を発せられ、犯罪への抑止力となるでしょう。

ご紹介したデジタル機器に関しては補助金制度が設けられているので、購入の際は活用ください。



子どもに対する安全対策
近年は子どもが巻き込まれる事件や事故が多発しています。事件や事故に巻き込まれないために、自己防衛の知識や手段は小さい頃から学んでおかなければなりません。たとえば、知らない人についていかない、体を触られたら大声を出すなどの不審者対策、車に閉じ込められたらクラクションを鳴らすなどの方法があります。子どもにも危機管理能力を身につけてもらえるように、幼稚園の活動を通して伝えていきましょう。

また、安全に対する意識を持てるように、避難訓練や交通安全教室も実施するといいですね。現在の法律では、幼稚園での避難訓練は年2回以上が義務化となっていますが、防災に対する意識を高めるためには、自主的に増やすことが望ましいでしょう。

子どもの笑顔のための安全対策を意識していこう

日々起こりうる事故や危険から子どもの命を守り、無事に保護者のもとに返すのが幼稚園の使命です。そのためには安全対策は必須であり、子どもが安心して笑顔で過ごせるような環境づくりが求められています。ヒヤリ・ハット事例集を参考にしたり、職員間で情報共有をしたりして、事故を未然に防げるように安全対策をしていきましょう。

東明エンジニアリング株式会社
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