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安心安全な送迎バスの運行は一日にしてならず!幼稚園に関わるすべての人が心がけたいこととは?

安心安全な送迎バスの運行は一日にしてならず!幼稚園に関わるすべての人が心がけたいこととは?
| 2025.02.09

幼稚園の送迎バスは多忙を極める保護者にとって重要な登園手段です。決められた待ち合わせ場所に向かうだけで登園させられるため、送迎時間を節約できるメリットがあります。
日々の送迎を実現させるためにはさまざまな基準が設けられ、安全を意識して運行しなければいけません。今回は送迎バスを運行するために気をつけたいこと、安全に寄与するシステムを解説します。

送迎バスの安全性とは

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幼稚園の送迎バスは、バス停や自宅前で園児を保護者から預かり、幼稚園まで送り届けることです。運行するためにはいくつもの基準が設けられ、それらを遵守することでスムーズな送迎が実現しています。まずは、園児が危険に巻き込まれないための安全管理と問題点を把握しておきましょう。

車内の安全管理
幼稚園の送迎バスで主に利用されているのは小型幼児送迎バスと中型幼児送迎バスです。小型幼児送迎バスは普通免許での運転が可能ですが、中型幼児送迎バスは中型免許が必要になります。

運転手は幼稚園教諭が担当したり、不在の場合は園長が交代したりして、日々の送迎を実現しています。近年は、送迎専門で直接雇用された方が担当する場合もあります。業務負担を減らすために運転手を外部に委託するケースも増えており、人手不足への対策も必要です。
また、送迎バスには添乗員も同乗していますが、現法では義務化されておらず任意です。実際には添乗員が同乗している確率は高く、現場の安全管理への意識の高さが伺えますね。

送迎バスに乗車すると、園児は必ず幼児専用シートに着席します。しかし、交通事故が比較的少ないことや脱着に時間がかかることなどから、園児へのシートベルトは義務化されていません。現在は安全性への指摘から、2026年度を目途にシートベルトが装備された車両の市場投入を要請するガイドラインが発表されています。

さらに、幼稚園の送迎バスには、三角形で黄色い「幼児バスマーク」を車の前後左右に貼らなければいけません。また、非常口を設置したり、消火器を常備したり、緊急事態に備えた細かなルールも設けられています。違反すると罰金が科されたり、運行停止の対象になったりするため、必ず遵守しましょう。



安全性が脅かされた事件
さまざまな規則を守り、送迎バスは日々の運行を実現しています。しかしながら、近年、送迎バスの安全性が脅かされた事故が発生しました。2021年に福岡県、2022年に静岡県で園児が置き去りにされ、熱中症により尊い命が奪われた事件をご存じでしょうか。このような痛ましい事故が起きた原因は、バス降車時の車内確認不足と園児の出欠確認を怠ったことです。

運転手や添乗員は降車時に車内に園児が取り残されていないか確認しなければいけません。目視での確認の他に、乗車人数と降車人数が一致しているか、点呼していたかどうかなど、さまざまな方法があります。それらの確認を怠ったために悲惨な事故が起きてしまったのです。

また、バス降車時の車内確認を忘れていても、園児の出欠確認を徹底していれば置き去り事故を防げたことも明らかです。登園が確認できず、欠席の連絡も来ていないという事実を把握できていれば、保護者への連絡やバスの確認に向かうという行動につながったでしょう。

尊い命を救える場面がいくつもあったことは紛れもない事実です。幼稚園の運営は保護者との信頼関係の上で成り立っています。その信頼を責任に変えて子どもを守っていく必要があるため、命が脅かされる事故は決して起きてはならないのです。

安全な運行のためには

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送迎バスの安全管理の方法と起こりうる事故を解説してきました。では、安全な運行のためにはどのような点に気をつければよいのでしょうか。

一つ目に職員が積極的に安全への意識を高めることです。個々が安全に対するアンテナを張ることで、危険を回避できる確率は上がるでしょう。しかしながら、ヒューマンエラーを完全に排除することは困難と言われています。備えとしてご紹介したいのがシステムを活用する方法です。ひとつずつ確認していきましょう。


職員が気をつけたいこと
子どもと触れ合う職員は、子どもに起こりがちな危険に対して予測が立てやすいでしょう。その危険をどのように回避していくかがポイントになります。主な方法は以下の2つです。

・職員間の情報共有を行う
・保護者との連携を行う

幼稚園は少数の職員で活発な園児をたくさん預かるため、チームで協力することが大切です。登園時の様子や家庭での状況などを共有することで園児の変化にも気づきやすくなり、適切なサポートにつながります。

前述しましたが、送迎バスの置き去り事故の間接的な原因は園児の出欠確認不足です。「何人お休み?」や「いつもいる時間なのにいないね」など職員間で気にかけていたら、事故を抑止できたのではないでしょうか。事故防止と園児の健やかな成長のために、職員間の連携は必要不可欠です。何気ないことでも情報共有しやすいように、風通しのよい職場づくりも意識していきましょう。

また、送迎バスの運行は幼稚園全体の責任の下で運行している自覚を持つことも大切です。一人一人がバスの運行のための規則や流れを理解し、運転手の交代などの緊急時にも対応できるように備えておきましょう。

バスの運行前の点検も含め、安全への意識はさまざまな角度から求められています。今回は送迎バスの安全な運行をご紹介していますが、近年は不審者による危害も少なくありません。門や防犯カメラが故障していたら容易な侵入を許してしまいます。幼稚園は小さな子どもを預かるため、あらゆる危険が潜んでいることを覚えておきましょう。

さらに、安全な運行のためには保護者との連携も大切です。たとえば、保護者がバス停に時間通りに到着しないと、発車が遅れて他の利用者に迷惑がかかってしまいます。遅れを取り戻そうと運転を急ぎ、事故につながる可能性も否定できません。

「ihere」は、お知らせサービス機能をオプションでご用意しており、園からの連絡を通知機能を利用して効率的に保護者へ配信したり、アンケートを取得したりすることが可能です、コミュニケーションが取りやすい機能を利用可能です。

保護者には余裕を持った行動を促して、スムーズなバス送迎への協力をお願いしましょう。また、欠席の場合は必ず連絡することと、欠席連絡がない場合は確認の電話を入れる必要性も伝えておきましょう。



システムの活用
デジタルを活用したシステムが普及した背景には利便性の向上と人手不足への対処が考えられます。幼稚園も慢性的な人手不足のため、業務負担を軽減し、ヒューマンエラーを減らす手段が必要です。今回は以下の3つのシステムをご紹介します。

・安全装置
・登園管理システム
・位置情報管理システム

令和令和4年10月12日に発表された「こどものバス送迎・安全徹底プラン」の中で義務化されたのが安全装置です。安全装置とは車内に人が取り残されるのを防止するための装置であり、置き去り事故を受けて重要性が再認識されました。


安全装置には、車内確認の警報を発する降車時確認式とセンサーで車内を検知して異常を知らせる自動検知式の2種類があります。置き去り事故防止に直接的に働きかけてくれます。なお、2022年9月5日以降に設置した安全装置に関しては、設置費用への補助金があるので是非ご活用ください。(国土交通省のガイドラインに適合しているものに限る)

一方で、置き去り事故防止の間接的な抑止力として期待できるのが登園管理システムです。園児の出欠や登園と降園の時間管理を明確化して、業務の効率化を図ることが狙いです。置き去り事故が起きてからは、園児の出欠確認が安否確認にもつながるとして注目を浴びています。安全装置の直接的な効力と登園管理システムの間接的な抑止力で、置き去り事故ゼロも実現可能ではないでしょうか。

また、最後にご紹介したいのが位置情報管理システムです。位置情報管理システムとは位置情報の把握と収集を通じて、安全性の向上に貢献するシステムです。

バスの到着時刻を正確に知ることで待ち時間を減らしたり、バス停に遅れたりしたくないという保護者の要望が叶います。一方で、保護者が時間を守ってくれることで、幼稚園はスムーズなバス送迎が実現するという大きなメリットがあります。

時間にゆとりが持てると心にも余裕が生まれ、事故の確率は低下するでしょう。位置情報管理システムは両者に利便性をもたらし、安全な運行のためにも一役買ってくれるのです。

なお、弊社では「iHere(アイヒア)」という位置情報管理クラウドサービスを提供しています。スマートフォンを通してバスの現在地をリアルタイムで確認できるため、低価格で導入でき、使用も簡単です。ぜひご検討ください。

まとめ

送迎バスの安心安全な運行は一人の力でなされるわけではありません。園児の健やかな成長を職員と保護者が支えていくように、送迎バスも多くの決断や尽力で成り立っています。

幼稚園に関わるすべての人が協力し合い、画期的なシステムを活用して、今後もスムーズな送迎バスの運行を実現していきましょう。

東明エンジニアリング株式会社
ITソリューション部

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